御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「千尋は、朝ごはん食べる派?」

「う、うん。少ししか食べないけど……」

「じゃあ、これくらいがちょうどいいかな。」

そう言って、律さんがコーヒーをカップに注いでくれる。

──なんか、夢みたい。

こんなふうに、誰かが朝食を作ってくれて、一緒に「おはよう」って言い合う朝なんて。

「いただきます。」

小さく呟いてフォークを持つと、律さんがニコッと笑った。

「なんか、夫婦っぽいね。」

顔がぽっと熱くなる。

でも不思議と、恥ずかしくない。

この人となら、こんな朝がずっと続いてもいいと思えた。

朝食を食べ終えると、律さんはスーツに着替えた。

ネクタイを締め、腕時計を確認する仕草がやけに様になっていて、まさに“デキる男”だった。

「ごめん。本当は今日は休みを取る予定だったんだけど、急な会議が入っちゃって。」

「いいよ。部長さんだもの、仕方ないよ。」

私は律さんと一緒に玄関まで向かい、ドアの前で彼を見送った。
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