御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「本気だよ。」

そのまま律さんが私の額に、そっとキスを落とした。

優しいキス。熱も不安も溶かしてくれるような。

「ありがとう、律さん。……私、きっと、すぐ元気になる。」

「うん。元気になったら、次は俺の好物、作ってね。」

「なにそれ、交換条件?」

「うん。夫婦の特権。」

そう言って笑う律さんの笑顔が、今日いちばんの薬になった気がした。

翌朝。すっかり元気になった私は、スーツをビシッと着こなし、リビングを出る。

玄関でネクタイを締めている律さんの姿を見つけて、思わず足が止まった。

「待って、律さん。」

後ろから声をかけると、律さんがふとこちらを見る。

私は背伸びをして、律さんの頬にキスをした。

「えへへ。これ、何気に憧れだったんだよね。行ってらっしゃいのキスってやつ。」

照れながらそう言うと、律さんが優しく笑って、次の瞬間──

彼の唇が、私の唇に重なった。
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