御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
夜、家に帰って律さんにその話をした。

「今日、私達は疑似結婚なんじゃないかって言われた。」

ソファーでビールを飲んでいる律さんが吹き出しそうになった。

「疑似結婚⁉」

律さんがハイトーンボイスで驚く。

「なんか、新婚の雰囲気がないって。」

私も律さんの隣に座ってビールを飲んだ。

「雰囲気がないって、俺達そんな冷えてるかな。」

「うーん。なんかね、イチャつくのが大事だって言われた。」

律さんは、ビールをもう一口飲んでから、ぽつりと言った。

「イチャつくのが大事……か。なるほどね。」

「うん。部長が言ってた。“妻とイチャつけるってことは、俺はまだイケてるっていう自信の証なんだ”って。」

律さんが吹き出した。

「なんだそれ、部長さん熱いな。でも……間違ってないかも。」

「え?」

「俺もさ、千尋が甘えてくれると、やっぱり嬉しいし、男として見られてるんだって思える。」

そう言って、律さんは私の手をそっと握った。
< 87 / 252 >

この作品をシェア

pagetop