御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
仕事を終えて家に帰ると、私は何気なく律さんをじっと見つめた。

「え?何?俺、そんなにカッコいい?」

おどけたように笑う律さんに、思わず手に持っていた食器を落としそうになる。

「はいはい、カッコいいですよ。」

肩をすくめて返すと、律さんはキッチンまでやってきて、私の背中にぴたりと寄り添った。あたたかな腕が、腰にまわる。

「……今日、欲しいの?」

小さく囁かれたその一言に、心臓が跳ねた。

「律さんって……私のこと、そういうふうに“欲しい”って思う時あるの?」

自分でもびっくりするような言葉が口をついて出た。律さんの動きがぴたりと止まる。

「え、え? なんで急に?」

「だって、同僚に言われたの。新婚のうちは、夜のルーティンがあるべきだって……」

ぼそっとそう言うと、律さんが後ろで吹き出したのがわかった。

「なんだそれ。じゃあ今日から“ルーティン”始める?」
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