御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
「……冗談じゃない!」

振り返って睨んだつもりだったのに、律さんの笑顔を見てるうちに、こっちまでつられて笑ってしまった。

「確かに、俺たち……回数は少ないかもな。」

夕食の準備をしていたキッチンで、律さんがぽつりと漏らした。

次の瞬間、冷蔵庫の前に追い詰められ、壁に手をつかれる――まさかの壁ドン。

「千尋がいいのなら、俺、頑張るけど?」

真剣な眼差しに、私は首を横に振る。

「そうじゃないの。律さんが、したいかどうかです。」

その言葉に、律さんの頬がみるみる赤く染まっていくのがわかった。

「……俺主導でいいの?」

私は小さく、でもしっかりとうなずく。

「千尋ーっ!」

律さんは子どもみたいに私に抱きついた。

「俺がしたいって思った時に、全部受け入れてくれるの? 本当に?」

「……その時によりますけど。」

律さんの肩が一瞬だけしゅんと落ちる。
< 92 / 252 >

この作品をシェア

pagetop