御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
お祝い?会いたいって、なんで今さら?

思わずスマホを見つめていると、不意に手が伸びてきて、それを奪われた。

「見るなよ。」

律さんが低い声で言う。

「……ごめん。でも、気になるよ。涼花さんって誰?」

私の問いに、律さんは短く答えた。

「昔の知り合いだ。けど、関係ない。気にするな。」

その言い方が、余計に引っかかる。

「“関係ない”なら、見せてくれたってよくない?」

「……千尋。」

律さんはしばらく私を見つめたあと、目を伏せる。

「会うつもりもないし、返信もしない。俺が今、大事なのは千尋だけだから。」

そう言って、律さんは私の手をぎゅっと握った。

胸の中のもやもやが、少しずつ溶けていく気がした。

でも──。

「……もしまた連絡が来たら、ちゃんと言ってね。」

「わかってる。」

律さんの言葉に、私は小さくうなずいた。

信じたい。
でも、不安も、ちょっとだけ──。
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