御曹司との交際0日婚なんて、聞いてません!──10年の恋に疲れた私が、突然プロポーズされました
エントランスを出た瞬間、視界が華やかな照明に照らされた。何かの撮影が行われている。

「うわ、すっげー……いい女。」

隣で滝君が足を止める。見れば、黒のドレスを纏った女性がライトの下でポーズをとっていた。

長い髪が風に揺れ、カメラのフラッシュが何度も弾ける。

「何ていうモデルさんなんだろうね。」

軽い気持ちで言った私の言葉に、滝君はすかさずスマホを構える。

撮った写真を画像検索し、数秒後に画面をこちらに見せた。

「石原涼花だって。」

──その瞬間、心臓がトクンと跳ねた。

「……ちょっと、見せて。」

彼のスマホを受け取ると、ウィキペディアを開いた。

《石原 涼花(いしはら・すずか)》

その漢字。あの時、律さんのスマホに表示されていたメッセージの送り主と、まったく同じ名前。

──元気? 結婚したんだって? 会ってお祝いしたい。
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