八咫烏ファイル
第十四章:紅蓮の空

第十四章:紅蓮の空


【金虎開発ビル・1Fオフィス】
滝沢「ねぇな?」
滝沢「どこにあるんだ?」
彼は地下へ行く場所を探している
一方オフィスに向かう夜
彼女は日向にもらった腕時計型の通信端末に話しかけた
夜「こちら美人探偵夜。こちら美人探偵夜。どうぞ〜」
夜はクスクスと笑いながら言う
滝沢『あぁ?何が美人探偵だ』
夜「それより見つかったの?」
滝沢『いやまだだ』
夜「まだ見つかってないの?」
夜「今まで何してたのよ?」
彼女は挑発的に言った
滝沢『こっちも色々あったんだよ』
夜「でどこにいるの?」
滝沢は天井に向かって銃を一発撃つ
ドキューン!
夜「分かった。そっちに行く」
滝沢と夜が合流する
夜「かなりフロアが広いわね」
滝沢「そうだな」
夜「このビルに地下があるかはまだ分からないのよね?」
滝沢「あぁ。日向がそんなこと言ってたな」
夜「じゃあまず地下があるか調べましょ」
滝沢「調べるってどうやって?」
夜「日。ちょっと真下に潜り込んで来て」
日『うん、わかった』
日は夜の背後からすーっと床の下へと沈んでいく
しばらくして日は夜の後ろの定位置に帰って来た
日『夜。地下はあるよ』
日『地下もかなり広い』
夜は滝沢に告げた
夜「地下はあるってさ」
滝沢「じゃあ徹底的に探すか」
夜「そうね」
二人は広いフロアをしらみ潰しに探す
そして一つの部屋を見つけた
滝沢「この部屋……怪しくないか?」
夜「そうね。何の表札もない」
その重い鉄の扉を開ける
部屋の中にはエレベーターが一つあるだけだった
夜「ビンゴ」
夜は手をピストルのようにしてエレベーターを指差す
二人はエレベーターに乗り込む
エレベーターのボタンにはB1しかない
滝沢がボタンを押した
夜「人はいるのかな?」
滝沢「居たらみんな殺っちまえばいいだろ」
夜「野蛮人!」
滝沢「うるせぇ」
B1に着きドアが開く
そこは薬品のツンとした独特の匂いが充満する巨大な工場だった
滝沢「お前この二つをあっち側に設置してこい」
滝沢は日向にもらった爆弾を夜に渡す
滝沢「俺はあっちに二個設置してくる」
夜「分かった」
二人は手分けして地下工場全体に行き渡るよう四つの爆弾を仕掛けた
設置を終え二人はエレベーターの前で合流する
滝沢「さぁ行こう」
夜「うん」
二人は再びエレベーターに乗り1Fへと向かった
エレベーターの扉が開く
二人はエレベーターを出てビルの入り口に向かって歩く
夜「ああ、そうだ」
滝沢「なんだ?」
夜「璃夏さん来てたよ?」
滝沢「はぁ?なんでだ?」
夜「知らない」
夜「あと、うちの田上健太ともう一人」
滝沢「……小里か」
滝沢「でお前のとこの坊主もなんで一緒なんだ?」
夜「だから知らないって」
夜「いたんだもん」
滝沢「でどうしたんだ?」
夜「シッシッてやっといた」
夜はニコッと悪戯っぽく笑った
滝沢は心底呆れたような表情をした
二人がエントランスを通り抜け外に出る
乗ってきたスーパーカーに向かって歩いていると高台の方から璃夏の大きな声が聞こえた
「滝沢さーん!」
滝沢「……ほんとにいやがる」
夜「だからいるって言ったでしょ」
夜がクスクスと笑う
やがて健太たちが乗る夜探偵事務所の社用車が高台から降りてきた
そして滝沢と夜の元へと向かってくる
滝沢「何してんだ?アイツら」
夜「それより爆弾」
滝沢「あぁ」
滝沢は内ポケットから小さなリモコンを取り出した
そしてその起爆ボタンを押そうとする
夜「滝沢!」
滝沢「なんだ?」
夜「私にやらせて!」
夜の目が子供のようにキラキラと輝いていた
滝沢「……ほらよ」
滝沢はそのリモコンを夜の方へと放り投げた
夜「やった!」
夜ははしゃぎながらそれを受け取る
そして躊躇なくボタンを押した
ドゴォォォォォォンッ!
金虎開発ビルの下層階から凄まじい爆発
黒いガラスが次々と連鎖するように砕け散っていく
【夜探偵事務所・社用車内】
璃夏「えぇぇぇっ!?」
健太「あああ……」
小里「ひゅ〜〜」
【ビル前】
滝沢と夜は乗ってきた黒のスーパーカーまでたどり着いていた
そこに璃夏たちが乗る車が到着する
三人が慌てて降りてきた
璃夏「滝沢さん!」
滝沢「何しに来た」
滝沢「帰れ」
璃夏「心配で……」
夜「田上健太ぁ?」
夜が健太を睨む
健太「あ、はい……」
健太がビビる
夜「そちらのお二人を無事に送り届けてあげなさい」
健太「あ、はい!」
滝沢「とにかく」
滝沢が言った
「俺らはまだやることがある」
彼はスーパーカーの運転席に乗り込む
そして窓を開けた
滝沢「小里」
小里「はい!」
滝沢「何かあったら頼む」
小里「任せてください!」
夜も助手席に乗り込む
エンジンが咆哮を上げ黒いスーパーカーは炎上するビルを背に走り去った
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