靴に魔法をかけたのは
3 ガラスの靴では歩けない
意気揚々と出席した次の店長会議。
終了後、晴佳はどんよりと肩を落としていた。
「残念だったな」
「でも、私の判断ミスだから」
気遣う諒に、唸るように答える。
会議では、苦い顔をした部長から注意を受けた。
インフルエンサーの投稿がバズったため、本部の指示を無視したことがバレて注意を受けたのだ。
かつて店舗ごとに独自のディスプレイをしていた時代、チェーンらしさがなくてお客様が離れてしまったという。だから今はレイアウトを統一している、とのことだった。
店を預かる責任を軽視したわけではない。むしろ重視していたのだが、それゆえに失敗するとは思いもしなかった。
「望月さん、海戸さん」
声をかけられて顔をあげると、そこには皐月がいた。
「ランチ行きましょ。お手頃なのにボリュームがあって、おいしそうな店を調べました」
にこにこする皐月に頷きかけ、晴佳ははっとした。
「今日はやめとく。バイトがひとり少なくて、早く店に帰らないと」
「そうなんですか。残念」
しょんぼりする皐月に、なんだか胸が痛む。バイトが足りないなんて嘘だ。だけどきっと、自分がいないほうが良い結果になるに違いない。
「ふたりで楽しんできて。感想よろしく!」
晴佳はバッグを持って会議室を出た。
諒だって皐月がいい子なのはわかっている。きっかけさえあれば、すぐ恋に落ちるだろう。