靴に魔法をかけたのは
3 ガラスの靴では歩けない



 意気揚々と出席した次の店長会議。
 終了後、晴佳はどんよりと肩を落としていた。
「残念だったな」
「でも、私の判断ミスだから」
 気遣う諒に、唸るように答える。

 会議では、苦い顔をした部長から注意を受けた。
 インフルエンサーの投稿がバズったため、本部の指示を無視したことがバレて注意を受けたのだ。

 かつて店舗ごとに独自のディスプレイをしていた時代、チェーンらしさがなくてお客様が離れてしまったという。だから今はレイアウトを統一している、とのことだった。
 店を預かる責任を軽視したわけではない。むしろ重視していたのだが、それゆえに失敗するとは思いもしなかった。

「望月さん、海戸さん」
 声をかけられて顔をあげると、そこには皐月がいた。
「ランチ行きましょ。お手頃なのにボリュームがあって、おいしそうな店を調べました」
 にこにこする皐月に頷きかけ、晴佳ははっとした。

「今日はやめとく。バイトがひとり少なくて、早く店に帰らないと」
「そうなんですか。残念」
 しょんぼりする皐月に、なんだか胸が痛む。バイトが足りないなんて嘘だ。だけどきっと、自分がいないほうが良い結果になるに違いない。

「ふたりで楽しんできて。感想よろしく!」
 晴佳はバッグを持って会議室を出た。
 諒だって皐月がいい子なのはわかっている。きっかけさえあれば、すぐ恋に落ちるだろう。
< 24 / 51 >

この作品をシェア

pagetop