靴に魔法をかけたのは
「だいたいさあ、万引きされる店が悪いんじゃん! やったのは子どもだよ? 未成年なら無罪じゃん! だから警察も逮捕しなかったじゃん!」
晴佳の顔がひきつった。被害届は出していないし、警察は注意で済ませて帰らせたのだろうが、そう解釈されるとは思いもしなかった。
「万引きが窃盗であることに変わりはありません」
「心せまっ!」
母親はおおげさに肩を竦めて見せた。
「うちは母子家庭で大変なんだよ。万引きくらい許しなさいよ!」
「それはほかの母子家庭の方に対する侮辱です!」
晴佳は思わず怒鳴っていた。友達に母子家庭の子がいるが、盗みなんてしたことはない。体がカッと熱くなり、母親をきつく睨みつける。
「お客様は神様なのよ!」
「あなたなんて客じゃありません!」
「落ち着け」
諒が割って入って、晴佳はハッとした。また感情的になって大声を出してしまった。
目の前では女子中学生が震えていて、芽瑠やお客様もまた、はらはらとこちらを見ている。
「申し訳ありませんが、おひきとりを」
諒がすごむと、母親はひるんで一歩をさがった。
「はん! こんな店、つぶれればいいのよ!」
平台の靴をなぎはらい、母親は出て行く。
女子中学生は晴佳に頭を下げてから慌てて母親のあとをついていった。その靴は昼間に見たままに壊れかけていて、靴底がべろべろと跳ねていた。
晴佳の顔がひきつった。被害届は出していないし、警察は注意で済ませて帰らせたのだろうが、そう解釈されるとは思いもしなかった。
「万引きが窃盗であることに変わりはありません」
「心せまっ!」
母親はおおげさに肩を竦めて見せた。
「うちは母子家庭で大変なんだよ。万引きくらい許しなさいよ!」
「それはほかの母子家庭の方に対する侮辱です!」
晴佳は思わず怒鳴っていた。友達に母子家庭の子がいるが、盗みなんてしたことはない。体がカッと熱くなり、母親をきつく睨みつける。
「お客様は神様なのよ!」
「あなたなんて客じゃありません!」
「落ち着け」
諒が割って入って、晴佳はハッとした。また感情的になって大声を出してしまった。
目の前では女子中学生が震えていて、芽瑠やお客様もまた、はらはらとこちらを見ている。
「申し訳ありませんが、おひきとりを」
諒がすごむと、母親はひるんで一歩をさがった。
「はん! こんな店、つぶれればいいのよ!」
平台の靴をなぎはらい、母親は出て行く。
女子中学生は晴佳に頭を下げてから慌てて母親のあとをついていった。その靴は昼間に見たままに壊れかけていて、靴底がべろべろと跳ねていた。