靴に魔法をかけたのは
 次ってなんだろう。晴佳は混乱した。
 もしかして、皐月とつきあってる話? そんなの聞きたくない。だけど、そんなこと言えるわけがない。
 覚悟しなきゃ。晴佳は唇を引き結ぶ。大好きなふたりを祝福しなきゃ。

 ぎゅっと拳を握って続きを待つが、なかなか彼は言葉を続けない。
 間を持て余した晴佳の目に、男の子が走っていくのが見えた。

「いいなー、その靴!」
「いいだろ、これな……」
 子どもは靴の自慢をして、それを聞いた晴佳ははっとして彼をおいかけた。

「え、ちょ、待てよ!」
 諒が慌てて晴佳を追いかける。
「君たち、靴見せて!」
 声をかけた小学生たちに不審者を見る目を返され、晴佳は慌てて両手を前に出して振る。

「怪しくないよ、靴を売ってるんだけど、子どもに人気の靴を知りたくて」
「おばさん、どこの店の人?」
 晴佳は胸をおさえた。こんなところでこんなにぐっさり刺されるとは思わなかった。

 気をとりなおして理由を話すと、男の子は顔を輝かせた。得意げに靴を脱いで見せ、先程友達と話していたことを教えてくれる。
 晴佳はスマホで画像を検索し、確認した。

「間違いない……これだ」
「だろ?」
 男の子は得意げに胸をそらした。
「ありがとう、教えてくれて」
 晴佳がお礼を言うと、靴をはいた男の子たちはまた元気に走っていった。
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