靴に魔法をかけたのは
「もっちー、どうした?」
「いける! 誤発注の靴、はけさせられる!」
 目をきらきらさせる晴佳に、諒は苦笑した。
「さっきまで落ち込んでたのが嘘みたいだな」

 晴佳ははっとした。
 確かにその通りだ。靴のことを考えた瞬間、すべてが吹き飛んでいた。
 靴で人を幸せにしたい。
 その夢はまだ途中だ。くじけている場合じゃない。

「ありがと……元気出て来た」
 照れながらお礼を言うと、彼は嬉しそうな笑顔を見せた。
「お前はいつだって靴に夢中だよな」
「うん。大好き」
 えへへ、と笑って彼を見ると、予想外な甘い眼差しに迎えられてどきっとした。さっきから、なにかがおかしい。

「そんなお前だから好きなんだ」
「え?」
 こぼれた言葉に目を丸くすると、諒ははっと自身の口を押えた。

「今のなし。忘れてくれ」
 そむけた彼の顔は耳まで赤くなっている。
「……うん。なんかごめん」
 よくわからないまま、晴佳は謝っていた。

 今のって、友達としてってことだよね?
 怖くて確認することなどできない。
 そのあとはなにを話しても上滑りしているような空気になり、早めに家に送ってもらった。
 だが。
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