靴に魔法をかけたのは
「もっちー」
少し離れたところに座っていた諒が話しかけて来る。彼を見た瞬間に、胸がきゅんと痛んだ。切なさと甘さが同時によぎる日が来るなんて、今まで思いもしなかった。
「コラボ、通って良かったな!」
「尊敬してもいいよ」
いつもと同じノリを意識して、晴佳は言う。
「とっくにしてる」
諒の甘い苦笑を正視できず、晴佳は目をそらした。てっきり「調子にのんな」と言われると思ったのに。意思に反して早くなる鼓動を整えようと、こっそり深呼吸をする。
「……今、いいですか?」
小声で声をかけられて顔を向けると、暗い顔の皐月が立っていた。
「私、行くね」
晴佳は気を利かせたのだが。
「望月さんとお話したくて」
「え、あ、うん……」
呼び止められ、頷くしかなかった。
「今日もランチ行くだろ? 廊下で待ってるよ」
返事を待たず、諒は会議室の外へ出て行く。
取り残され、気まずい気持ちになった。
会議室から店長が全員出て行ったあと、適当な席に向かい合って座り、皐月は話しだす。
「発注ミス、助けて下さってありがとうございました」
「偶然、アニメのキャラが履いてるって知ったから」
「常にアンテナをはってたからですよね。ほかの店長は誰も気づいてなくて……望月さんのおかげです」
「皐月ちゃんもナイスミスだったよ。無意識に気付いてたんだじゃない? これは売れる! って」
「フォローが下手ですね」
泣き笑いで言われ、言葉につまった。ナイスミスってなんだ、と自分でも思う。
少し離れたところに座っていた諒が話しかけて来る。彼を見た瞬間に、胸がきゅんと痛んだ。切なさと甘さが同時によぎる日が来るなんて、今まで思いもしなかった。
「コラボ、通って良かったな!」
「尊敬してもいいよ」
いつもと同じノリを意識して、晴佳は言う。
「とっくにしてる」
諒の甘い苦笑を正視できず、晴佳は目をそらした。てっきり「調子にのんな」と言われると思ったのに。意思に反して早くなる鼓動を整えようと、こっそり深呼吸をする。
「……今、いいですか?」
小声で声をかけられて顔を向けると、暗い顔の皐月が立っていた。
「私、行くね」
晴佳は気を利かせたのだが。
「望月さんとお話したくて」
「え、あ、うん……」
呼び止められ、頷くしかなかった。
「今日もランチ行くだろ? 廊下で待ってるよ」
返事を待たず、諒は会議室の外へ出て行く。
取り残され、気まずい気持ちになった。
会議室から店長が全員出て行ったあと、適当な席に向かい合って座り、皐月は話しだす。
「発注ミス、助けて下さってありがとうございました」
「偶然、アニメのキャラが履いてるって知ったから」
「常にアンテナをはってたからですよね。ほかの店長は誰も気づいてなくて……望月さんのおかげです」
「皐月ちゃんもナイスミスだったよ。無意識に気付いてたんだじゃない? これは売れる! って」
「フォローが下手ですね」
泣き笑いで言われ、言葉につまった。ナイスミスってなんだ、と自分でも思う。