靴に魔法をかけたのは
「あー、うまいって噂のキッチンカーが近くの公園に来てるらしいんだ。行こうか」
「うん……」
 断れず、晴佳は頷く。

 彼がアメリカに行く、という話も気になる。
 本店の跡地で、次に行こうと思っていると言っていたのは、このことだったのだろうか。

 彼に連れられていった公園は青々とした芝生が広がっていた。
 入口付近のキッチンカーで持ち帰りのホットドッグセットを頼み、池のそばの四阿(あずまや)に行き、テーブルにホットドッグセットを広げる。

 たわいもない話をしながらも、胸はもやもやしていた。
 アメリカに行くの?
 前なら無邪気に聞いただろうが、今はなんだか聞きづらい。

 食べ終わったところで、ふと会話が途切れた。
 話を続けなくちゃ。
 そう思うのに、思考が空転してうまく会話の接ぎ穂を見つけられない。
 落ち葉の浮かぶ池では鯉が優雅に泳いでいる。

「この前の話だけどさ……」
 切り出した彼に、胸騒ぎがした。
 彼の顔はいつになく真剣で、きっと話の内容は真面目なものだ。

 なんだか逃げ出したくなる。だけど、逃げたらきっと後悔する。
 秋のさわやかな風がふたりの間を吹き抜け、彼の髪が揺れた。
 やがて、彼は決心したように口を開く。

「俺、アメリカ行くよ」
「そう……」
 頷く晴佳に、諒はけげんな顔をする。
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