靴に魔法をかけたのは
「海戸くんも彼女いないんだっけ。何年?」
「聞くな」

「せっかくイケメンなのにねえ、顔だけは」
「顔だけじゃねーだろ。そもそもお前は恋に鈍感すぎるから恋人なんて無理だろ」
「失礼すぎ!」
 反論にくすっと笑ってから、皐月が切り出した。

「聞きました? アメリカに出店するかもって話があるんですよ」
「社長がアメリカの靴メーカーの社長と仲良くなって盛り上がってるってやつか」
「全国展開もしてないのにアメリカに?」
「そういう戦略もありなんじゃね? アメリカいいなあ」
 一足先に食事を終えた諒が紙ナフキンで口をふきながら言った。

「戦略といえば、部長が言ってたやつ。なんかもう案を持ってたりする?」
「聞くより自分のを言いたいんだろ」
「バレたか。まず、手作りポップを飾りたい」
 ペンギンがイメージキャラを務める格安量販店や、遊べると銘打っている書店の名を挙げると、諒と皐月は苦笑した。

「店のイメージと合わないって言われませんか?」
「ダメかなあ」
 皐月のつっこみに、晴佳は残念そうにつぶやく。

「あとは、インフルエンサーとのコラボとか。アニメとコラボ企画をするとか。古代エジプトでは愛する人と片方ずつサンダルを履いたから、そんな感じのサンダルを売り出すとか!」
「片方ずつって」
 諒がつっこみ、皐月が笑う。
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