靴に魔法をかけたのは
「本当に片方ずつじゃなくて、そんな感じの! 古代では本当に片方ずつだったみたいだけど!」
「イメージ先行すぎてなにもわかんねーよ。なあ?」
「発想は面白いですけど」
 諒と皐月がくすくすと笑う。

「じゃあ諒のアイディアは?」
 不服そうに晴佳がたずねると、諒はにやりと笑った。
「靴のオーダー会。人間って左右で足の大きさ違うしな、足型とってマイサイズの靴を手に入れる。こだわりの逸品をはいて仕事するなんてぐっとくるだろ」
「いいですね、それ!」
 皐月が軽く手を叩いて賛同した。

「そんなのウケるかなあ?」
「俺の店は紳士靴専門店だからな」
「そっか……男性ってこだわりの品って好きだもんね」
 ふむ、と晴佳は頷く。店に合わせた良さげなアイディアに思えた。

「当然ほかにもアイディア出すけどな」
「私ももっと考えないとなあ」
 言ってから、晴佳ははっと皐月を見る。

「ごめん、また店の話して」
「おふたりともお店の話をしてるときって生き生きしてるから、楽しいです」
 にっこり笑う皐月の笑顔に晴佳の頬も緩む。

「関内ちゃんの気遣いは神レベルだな」
「ほんと癒しだわ~。店長会議も皐月ちゃんに会えるから楽しみなの」
「私もおふたりに会えるの楽しみなんです」
 笑顔の皐月に、晴佳の頬は緩みっぱなしだ。

「皐月ちゃんのためにも絶対にいい企画出すぞ!」
「負けねーからな」
 晴佳と諒の間にはばちばちと火花が飛び、皐月は穏やかに微笑してそれを眺めていた。
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