結婚当日に夫が浮気したから、ヤケになって愛人募集したら王弟殿下が志願してきた件。
さすがに王子は、結婚している女性を奪うことに躊躇いがあったようだ。彼女が正式に離婚してくれたら、想いを伝えようと思っていたのだろう。
とにかく、そんな話もあって、王族は本当に心から愛する女性が既婚者で、かつ相思相愛だった場合、特例として略奪が認められている。
数百年前の話だというのに、まるで今の私みたい。シオドアとは結婚したくなかったが、家の関係でせざるを得なかった。父親は断ってもいいとは言ってくれたが、ロイル侯爵家のほうが格下だ。断れば、父の置かれる立場にも影響するのは目に見えていた。
それにシオドアは同じ学園で学んだ仲。共に暮らせば愛情も芽生えるかも知れないと、そんな淡い期待もあって、この結婚を受け入れたというのに、その結婚式当日に「愛人を作れ」と言われるとは思ってもいなかった。
私は小さく息を吐いて、アーヴィンを見上げた。彼の紫眼が、どこか不安げに揺れていた。
「えぇ、知っています。ただし、お互いに想い合っている場合に限る、ともありますね」
「さすがイレーヌだな。だから君の愛人に志願したい。俺なんかどうだ? さっきも言ったように、かなりお得だと思うが?」
シオドアが身体を強張らせたのが伝わってきた。その様子をリンダが不安げに見つめる。
私も動揺のあまりコクリと喉を鳴らした。
「素敵なお話ですね」
「では、俺の提案を受けてくれると。そういうことでいいのかな?」
その言葉に頷いた私は、アーヴィンが差し出した手に、そっと自分の手を重ねた。
(おしまい)
とにかく、そんな話もあって、王族は本当に心から愛する女性が既婚者で、かつ相思相愛だった場合、特例として略奪が認められている。
数百年前の話だというのに、まるで今の私みたい。シオドアとは結婚したくなかったが、家の関係でせざるを得なかった。父親は断ってもいいとは言ってくれたが、ロイル侯爵家のほうが格下だ。断れば、父の置かれる立場にも影響するのは目に見えていた。
それにシオドアは同じ学園で学んだ仲。共に暮らせば愛情も芽生えるかも知れないと、そんな淡い期待もあって、この結婚を受け入れたというのに、その結婚式当日に「愛人を作れ」と言われるとは思ってもいなかった。
私は小さく息を吐いて、アーヴィンを見上げた。彼の紫眼が、どこか不安げに揺れていた。
「えぇ、知っています。ただし、お互いに想い合っている場合に限る、ともありますね」
「さすがイレーヌだな。だから君の愛人に志願したい。俺なんかどうだ? さっきも言ったように、かなりお得だと思うが?」
シオドアが身体を強張らせたのが伝わってきた。その様子をリンダが不安げに見つめる。
私も動揺のあまりコクリと喉を鳴らした。
「素敵なお話ですね」
「では、俺の提案を受けてくれると。そういうことでいいのかな?」
その言葉に頷いた私は、アーヴィンが差し出した手に、そっと自分の手を重ねた。
(おしまい)


