悲劇のセイレーンにささやかな愛を



興味津々に澪の方をチラチラと見てくる秋斗にため息をつく。

案の定秋斗の反対側を歩く澪はすっかり固まっている。



「あ、もしかしてとうとう彼女できたとか?」

「……黙れ」

「え、何図星⁉︎」



ちげーし、できてもないんだが。



「俺の家に住み始めただけ。海で拾った」

「……今なんて言った?」

「は?」



理解力のカケラもない……さすがチャラ男。(?)

そうこうしてるうちに学校へ着き、俺は秋斗を置いて早足で昇降口へ向かった。

しかし間に合わず黄色い声が飛び始める。



「今日も朝から片桐くんを拝めたっ」

「……ってちょっと待って、隣の子誰⁉︎」

「おい見ろよ、うちの学校にあんな美女いたか?」

「なんで片桐くんの隣にいるの⁉︎」

「やべー、どタイプなんだけど」


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