悲劇のセイレーンにささやかな愛を



「……え⁉︎ 何、片桐くん知り合いなの⁉︎」

「そういえば一緒に登校してきたって言ってた」

「知り合いっていうか、もしかして……」



──トンッ



黒板を叩いたような音がして、興奮していたクラスメートの意識が前方に飛ぶ。

するとそこには、澪が書いたであろう文字が並べてあった。



『本当は私も皆さんとお話ししたいです。なので声は出ないけれどたくさん話しかけて欲しいです。
それと、紫水と私は何も関係ありません。』



唖然としているみんなに向かってニコリと笑い、頭を下げた澪。

次第に拍手が広がっていく。

笑顔にやられたのか顔を赤面させている男子もちらほら。



「はぁ、ムカつく」

「お前本当にどうしたんだ」

「紫水の妹ちゃんじゃなかったの⁉︎」

「……いや紫水って呼んでる時点で関係なくないよね?」



自分でもよく分からないが謎にイラついてる俺に声をかける凰牙、バカな彩芽、ぽつりと呟いた秋斗。

歩いてきて俺の隣に座った澪は、相変わらずフワリとした空気を纏っていた。


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