悲劇のセイレーンにささやかな愛を



『紫水が他の女の人と話すのが嫌だったの』

「え」



向かい合い、バッと出されたノートを見て困惑する。

他の女の人と話すのが嫌……?俺が……?



『それを見るのも嫌で離れてたのに、離れてる方が嫌で。だから彩芽にアドバイスをもらって本当のことを言おうって思えて』

「ちょ……待って、ストップ」



あまりにも澪がはやく書きすぎて情報が整理できない。

止められて涙目で睨む澪に少しドキッとした。
じゃなくて。

それが理由だったってことか?

俺が他の女の人──先輩だろう──と話しているのを見るのが嫌で、離れていたのか?



「澪は好きな人がいるんじゃなかったのか」

『なんなのきゅうに』



焦ったのか、平仮名になる澪。



「いや、好きな人がいるのに他の異性と話したくないだろ?だから俺を避けてるのかって思って」


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