本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 たくさんの本が並べられた部屋。けれど、家族の誰もこの部屋を有効活用していないらしい。

 ここは、リティスにとっての避難場所。棚に並んでいるたくさんの本が、こんな時はいつも心を慰めてくれた。

(……あれ?)

 室内をぐるりと見回したら、今まで気づかなかった扉があるのに気がついた。この図書室には何度も来ているのに、どうして今まで気づかなかったのだろう。

 吸い寄せられるように、リティスはその扉に手をかける。

 鍵がかかっているのではないかと思ったけれど、扉はスムーズに開いた。

「――わあ!」

 隣の部屋に足を踏み入れたリティスの口から、歓声が上がった。

 真っ白な壁、床に敷かれた上質な絨毯。柔らかそうなソファ。テーブルに置かれているのは、繊細な細工の施された銀のティーセット。

 そして、四方の壁を埋め尽くしているのは、今まで見たことのない数の本、本、本。天井は高いが、その天井までびっしりと本が収められている。

「……なんて素敵なの!」

 どうして、この部屋の存在に今まで気がつかなかったのだろう。

 ここは、リティスにとって夢の空間だ。

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