愛のち晴れ 海上自衛官の一途愛が雨女を幸せにするまで
私たちが向かうことになったシティマークプラザは、駅と直結しているため、移動の際に雨に濡れる心配もない。
ガラス張りの開放的な造りで、存在感もありながら、エリアの都会的な街並みに溶け込んでいた。
晴れた日は外の光を反射してきらめき、雨の日には静かな輝きを放つ外観は優雅でモダンな雰囲気がある。
ショップもレストランも充実していて、特別な時間を過ごすには最適な場所だった。
「え、ここ……」
ところがそんな華やかな空間で、航さんが最初に私を連れていったのは五階にあるスマホ修理店だった。
まさかここが、航さんが行きたかった場所?
「まず、陽花のスマホを修理に出そう」
予感が的中する。航さんは迷わずカウンターに向かうと、手際よく受付を済ませた。
さらに、私が戸惑っている隙にお会計まで終えてしまう。
「いくらでしたか!? お支払いします」
あわてて財布を出そうとしたら、その手を掴まれ止められた。
「いや、いいよ。今日、付き合ってもらったお礼だから」
「そんな……。誘ってくれたのは航さんですけど、私も今日を楽しみにしてました」
真っすぐに彼の顔を見て言うと、航さんが目を細めてふわりと笑った。
「今の言葉が聞けただけで十分だから」
これ以上粘るのは野暮になることが空気で伝わってきて、申し訳ない気持ちと、くすぐったい胸の疼きに葛藤した。
「スマホの修理を待つ間に、施設内を見て回ろう。重光さんのプレゼント探しが先か、それとも昼食を先にする?」
時間はランチタイムに差しかかっている。
けれど私は、まずは目的を達成してからのほうがゆっくりと食事を楽しめる気がしたから、前者を選択した。
「先に、重光さんのプレゼントを探しに行きましょう」
「だな。そのほうが、ゆっくり食事もできそうだし」
同じことを考えていたんだと思うと、なんだか嬉しくなった。
そうして私たちはスマホ修理店を出て、広い施設内を回り始めた。