愛のち晴れ 海上自衛官の一途愛が雨女を幸せにするまで
「今晩、航さんに会ったらお礼を言わなきゃ」
つぶやいた私は航さんに、【シーガーデンで待ってます】と返信した。
そして、画面を閉じたスマホをそっと胸に抱き寄せる。
自信がなくて筆が止まりそうだった私を、航さんが外に連れ出してくれたから、夢に向かって一歩前進できたんだ。
ネームの中の主人公とその恋人とのやり取りにも、航さんと一緒にいて感じた想いや台詞が反映されていた。
航さんなら、こんなことを言ってくれるんじゃないかと想像しながら描いてみた。
もしも私が主人公だったら、こんなふうにされたいと考えながら、私はペンを走らせた。
「……早く会いたいな」
気がつくと、そんな言葉が口からこぼれていた。
航さんも今、同じ空を眺めていてくれたらいいな──なんて、そう思ったら胸の奥が締めつけられて、また自然と笑みを浮かべていた。
* * *
「重光さん、六十歳おめでとう!」
航さんの明るい声と同時に、クラッカーの破裂音が店内に弾ける。色とりどりの紙吹雪が宙に舞うのを見ながら、祥子さんと私もお祝いの言葉を贈った。
その日の夜、営業時間後に、予定どおり重光さんの誕生日パーティーがシーガーデンで開かれた。
壁には【祝・還暦】と書かれた紙が飾られ、テーブルの上にはピザやカプレーゼをはじめ、重光さんの好物が色鮮やかに並べられていた。
「航くん、陽花ちゃん、今日はシゲのためにありがとね」
料理を作ってくれたのは、重光さんの奥さんの祥子さんだった。
祥子さんは腰を痛めているにもかかわらず、この日のためにと事前に準備をしてくれたのだ。