王子姫は旦那様に可愛いと言われたい
「っ、げほっ、けほ……っ!!」

「そんなにむせなくてもいいだろ? ほら、水」

 真尋から水の入ったグラスを受け取り、ひと口飲んで気持ちを落ち着かせる。その間、彼は私の背中をさすってくれていた。

 バラ園でのお姫様抱っこなんて、ロマンチックにもほどがある。

 家で横抱きにされただけで恥ずかしくて堪らなかったのに、それを他の人が見ている中だなんて……想像しただけで顔から火が出てしまいそうだ。

「っ、べ、別に、私はいいよ……」

「本当に?」

「そ、それよりも……っ、この後、ショッピングモール寄って帰らない? 真尋、カッターシャツ買い足したいって言ってたでしょ?」

(私がもし、背が低くて可愛らしい女の子だったなら、素直にうなずけてたのかな?)

 そう思った途端、胸がチクリと痛むのを感じた。

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