王子姫は旦那様に可愛いと言われたい

可愛くない私

「ねえ、真尋……私、変じゃない?」

 ウェディングドレス選び当日。私はソワソワしながら真尋と共にドレスショップに向かっていた。

「何回も言ってるけど、変じゃないよ」

 車を運転しながら、真尋は困ったようにクスクス笑う。ちなみにこのやり取りは、今日だけで五回目だ。

「……だったらいいけど」

 おろしたてのワンピースの裾を握りながら、私は呟いた。

 私は真尋に勧められて、プレゼントされたワンピースを着ていた。

 買ってからなかなか着る決心が持てなかったので、着るのは今日が初めてだった。

「時間はたくさんあるから、色々試着してみなよ」

「……う、うん」

「それと……」

「?」

「似合う似合わないってのは置いといて、まずは好きなのを選べばいいんじゃないか?」

 店の駐車場まで着いたタイミングで、真尋はそう言ったのだった。

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