王子姫は旦那様に可愛いと言われたい
 私が似合わないドレスも、ゆまならば似合うに違いない。

 ゆまに貶されたのは悔しくて悲しいけれども、自分が可愛くないのはどうしようもないことだ。私はしゃくりあげながら、言葉を続ける。

「だから……っ」

「似合わないとか、どの口が言ってんだか」

「っ!?」

 突然、真尋は私をソファに組み敷いた。泣き腫らした顔を見られるのが嫌で手で隠そうとしたが、それは彼の手で阻まれてしまった。

「姫香。そのワンピース、とっても似合ってるし、そんな奴の言葉気にしなくていいよ」

 そう言って、真尋は私の頭を優しく撫でた。

 しかし意固地となっていた私は、とうとう今まで言わなかった言葉を口にした。

「でも……っ、真尋だって、可愛いなんて一度も言ってくれてないじゃない……!!」

「!?」

 口先だけの慰めなんて要らないとばかりに、私は言った。

「わあああん!!」

「……っ」

 呆気にとられる真尋。泣き崩れる私。部屋の空気は最悪だった。
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