王子姫は旦那様に可愛いと言われたい
 今日の飲み会の目的は、真尋と私の友人たちの顔合わせである。

 ……というのは建前で、私の女友達一同の強い希望によりセッティングされた、いわゆる合コンだった。みんなお酒を飲みながらも、男性陣に熱っぽい視線を向けている。

(みんな……初めからがっつき過ぎじゃない?)

「そうだ、三十分ごとに席替えしません? せっかくなんで、みんなとお話ししたくて!」

「おお、いいね。そうしよう」

 ちなみに、真尋の友達四人も彼女なしの方ばかりなので、誰が誰とくっついても特段問題はない。お好きにどうぞ、と思いながら、私はカシスオレンジをひと口飲んだ。

「まさか、‘‘王子姫(おうじひめ)’’って呼ばれてた姫香が結婚一番乗りだとは思わなかったよ」

 友人の美海が、サラダを小皿に取り分けながら言った。

「もう、そう呼ばれてたのは、だいぶ前のことじゃない」

「……おうじひめ?」

 そろって頷く女子四人とは対照的に、男子五人は首を傾げた。

「姫香って、高校時代に‘‘王子姫’’って呼ばれてたんですよ。王子様みたいに背が高くて、カッコいいから」

「へえ……」

「ちょうど、苗字と名前を短縮すると『おうじひめ』になるんで」

「ああ、なるほど」

 美海の説明で、男性陣もようやく合点がいったようだ。
< 5 / 26 >

この作品をシェア

pagetop