王子姫は旦那様に可愛いと言われたい
「じゃあねー! 姫香、お気をつけて!」

「みんなも、夜遅いんだから真っ直ぐ帰るんだよ」

「もー、姫香ってば、お母さんじゃないんだから」

「はいはい、じゃあまたね」

 駅の改札前でみんなと別れてから、私と真尋は家に向けて歩き出した。

「私の友達が賑やかすぎて……ごめんね」

「いや、みんな楽しめたみたいだし、良かったんじゃないか? ほら」

 真尋はスマートフォンのメッセージアプリを開いて、画面を私に見せた。

 飲み会の終わり際、連絡用にみんなでメッセージアプリのトークグループを作ったのだが、そこでは和気あいあいとメッセージのやり取りが繰り広げられていた。

「野郎共も、楽しそうでなによりだ」

「ふふっ」

 そこまで話していたところで、私たちは横断歩道に差し掛かった。ちょうど信号が赤に変わったため、立ち止まる。

 何気なく空を見上げると、とあるビルの上に設置された電子看板が目に入った。

 そこに映し出されていたのは、ブライダル情報誌の宣伝だった。
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