王子姫は旦那様に可愛いと言われたい
 ライトグレーのタキシードを着た花婿と、ピンク色のウエディングドレスを着た花嫁。二人はバラ園の真ん中で仲睦まじく寄り添い合っていた。

 庭園の黄色い薔薇に囲まれた二人は、まるで王子様とお姫様のようだ。

(……素敵)

 花嫁のドレスは、おそらく柔らかなシフォン素材だろう。スカートのふんわりとしたシルエットが、とても美しい。

 撮影場所がバラ園ということで、ティアラやネックレスもバラをデザインしたもので統一されている。遠目で見るだけでも、憧れずにはいられなかった。

 もし自分が、あんな素敵なドレスを着ることができたなら。不意に、そんな一言が頭をよぎる。

 けれども、ささやかな憧れの気持ちは、すぐにシャボン玉のように弾けて消えた。

 なぜなら。私はきっと、可愛らしいドレスは似合わないからだ。

 昔から女にしては背が高く、学校での背の順は後ろから数えて一、二番目が定位置だった。

 昔からスポーツは好きなので、太り過ぎでも痩せすぎでもないが、女性らしい魅力的な身体つきとは程遠い。
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