【マンガシナリオです】クールな彼の無自覚な求愛

念願の再会

○駅前、夜
前回の続き、悟に驚くシーンから。
紗矢(え…お守りの彼!?)
悟「ごめん、予定より早く着いちゃって。連絡入れたんだけど」
渉に話しかける。スマホを見て、あ、と気付く渉。横にいる紗矢の存在に気付いた悟。
悟「…あ!お守り落とした子だよね!?」
紗矢(嘘…覚えてくれてる!)
「うん!あの時のお礼ずっと言いたくてっ!」
悟「お礼なんていらないよ!渉と同じ学科なの?」
紗矢「ううん。私は栄養学科」
悟「そっかぁ。俺も受かったんだけど、違う大学へ行く事にしたんだ。でも、こんな偶然あるんだね。双子の弟の彼女として再会するなんて!」
紗矢「双子…?え、双子!?」
渉の方を勢いよく見た。
紗矢「ちょっと!聞いてないよ!」
渉「…。」
悟「彼女に俺のこと言ってないとかひどいなぁ」
紗矢「あの!…彼女じゃないから…」
悟「あ、そうなんだ」
紗矢(まさかこんなタイミングで再会するなんて思ってもなかった。大きい荷物持ってるし、神崎の家に泊まるってことだよね)
「あ、私もう行くね。今日はありがとう」
渉「うん」
悟に会釈をし、渉に手を振り去っていく。
紗矢(頭がまだ追いつかない。お守りの彼は悟くんで、神崎と悟くんは双子。…やっぱり神崎は、お守りの彼じゃなかったんだ…)


数日後。
○夜、母の居酒屋
店内に数組客がいる。紗矢は手伝っている。
ドアが開く。
紗矢「いらっしゃいませー…あ」
入ってきたのは渉、一人。

店内に座っている渉。紗矢はお冷をテーブルに置く。
紗矢「ご注文決まったらお声がけください」
渉「何時まで?」
紗矢「え…」
渉「店の手伝い何時まで?」
紗矢「今日は23時頃かな」
(なんでそんなこと聞くんだろう)
渉「分かった。あ、もう注文していい?」

23時過ぎ。店を出る紗矢。
紗矢「あれ…」
食べ終えて帰ったはずの渉が外にいた。スマホいじってる姿。紗矢に気づく。
渉「…お疲れ。ちょっと時間ある?」

○駅までの道
並んで歩く2人。
渉「…悟のこと話してなくてごめん」
紗矢「あ、いやいや、神崎は何にも悪くないよ。そりゃあ、びっくりしたけど…」
渉「…小学生の時に親が離婚して、俺は父親、悟は母親についていくことになったんだ。たまに連絡取り合ってたけど、悟がうちの大学受けてたのは知らなかった」
紗矢「そうなんだ」
(この話をするためにわざわざお店に来てくれたのかな。あ、私たち連絡先知らないから伝える手段がなかったのか)
「あのさ、連絡先教えてもらっていい?」
渉「うん」
交換する2人。


週末
○夏祭り会場、夜
私服姿の紗矢と渉と悟。周りには露店。
紗矢(この状況なに!?神崎から祭りに誘われて、その時点でびっくりなのに、悟くんまでいるとか…急展開過ぎる!)
悟「紗矢ちゃん!はい、どうぞ」
買ってきた唐揚げを渡す。
紗矢「わぁ、ありがとう!」
(悟くんは想像してた通り、いや、それ以上にすごく優しい。会話もたくさんしてくれるし、ほんとに神崎と双子なのか疑うくらい。だけど…)
渉と悟が並んで話している姿。
(見た目はそっくりなんだよなぁ。違いは髪色とホクロくらい)

ヨーヨー釣りをする渉と悟。横で見守る紗矢。
悟「紗矢ちゃん、どれがほしい?」
紗矢「その赤いシマシマの!」
悟「おっけー!」
テンション高く釣る悟と対象的に黙々と釣るクールな渉。
希望のヨーヨーに悟の釣り針がかかる。
悟「よしっ!」
無事に取れ紗矢に渡す。
悟「はい、紗矢ちゃん」
紗矢「ありがとう」

前から走ってきた小さな男の子が転ける。
男の子「うわーん…いたいよぉ」
駆け寄る悟と紗矢。渉はあたりを見渡している。
悟「大丈夫?ちょっと見せて。…少し擦りむいてるね。よーし、痛いの痛いのあの星まで飛んでいけっ!!」
泣き止んだ男の子。
紗矢(よかった。あれ、神崎は…)周りを見る。
男の子のママ「けいたっ!」
男の子「ママ!」

男の子のママ「本当にありがとうございました」
悟「いえいえ。ママから離れないようにね」
男の子の頭をくしゃっとする。
渉「…優しさの塊だな」
悟に聞こえないボリュームの声。渉の目線は悟たちに。紗矢の目線は渉に。
紗矢(たしかに悟くんは優しい。…だけど、男の子のお母さんを探しに行ってくれた神崎だって十分優しい。唐揚げを買ってくれた悟くんも、食べ終わった容器を捨ててくれた神崎も、ヨーヨーを取ってくれた悟くんも、大きなヨーヨーを取り、うまく取れなかった子供にあげていた神崎も…2人とも優しさの塊だよ)
渉の容器を捨てる姿や子供にヨーヨーあげるシーンとともに。

渉「トイレ行ってくる」
悟「そこのベンチで待っとくよ」
ベンチに座る紗矢と悟。
悟「足疲れてない?」
紗矢「うん、大丈夫だよ」
悟「…ねぇ、紗矢ちゃん。来週2人で出かけない?」少し覗き込むように。
紗矢「へ…?」


9月
○カフェ、昼間
向かい合わせに座る紗矢と玲香。
玲香「えええ!?神崎の双子の兄がお守りの彼だったの!?」
紗矢「…うん」
玲香「まさかの展開だね。で、会ってどうだった?」
紗矢「すごく優しくて、イメージ通りの王子様って感じだった」
玲香「そっか。その彼はまだ神崎の家に泊まってるんでしょ?」
紗矢「うん。今度2人で出かけることになって…」
玲香「ええ!?やっぱり運命の相手だったりして」
紗矢(運命の…。ずっと会いたかった悟くんと再会できて、すごく嬉しかった。私のこと覚えてくれてたし。それに2人でお出かけ…願ったり叶ったりの展開なのに、どこか喜びきれないのは何故だろう)


数日後。
○外、昼過ぎ
悟と出かける日。駅前の広場に向かう紗矢。
紗矢(早く着いちゃったな。…え!?)
待ち合わせ場所を見ると、紗矢に気づき大きく手を振る悟の姿。
紗矢「びっくりした。早いね」
悟「なんとなく紗矢ちゃん早く来そうだなと思って。女の子待たせるの好きじゃなくて、早く来ちゃった」満面の笑み。
紗矢(なんなの、この天使は!)
悟「じゃあ、行こっか!」

並んで歩く2人。
紗矢「たぶんこの辺だと…」
目的地を確認するためスマホに目をやる紗矢。前から来た人とぶつかりそうになる。
悟「あぶない…」
ぐいっ、紗矢の肩を抱き寄せる。
悟「大丈夫?」微笑み。
紗矢「あ、うん。ありがとう」顔赤い。

○豆柴カフェに到着
可愛い豆柴たちの図
紗矢(か、か、可愛いーー!)メロメロ
悟のところへ豆柴たちが群がる。
悟「おぉ!可愛いなぁ、よーしよしよし」
撫でる。
紗矢(動物にまで優しいなんて。悟くんと豆柴のコラボ癒しすぎる)
悟「紗矢ちゃん、見て見て」 
悟にお手をしている豆柴。
紗矢「ふふ、すっかり仲良しだね」
豆柴たちとの時間を楽しむ2人。

カフェを出た。
悟「いやぁ、癒されたねぇ。あれは可愛すぎる」
紗矢「別れ際、豆柴たちが悟くんと離れるの嫌がってて、スタッフさん困ってたね」
悟「あんな目で見つめられたら帰れないよ」
紗矢「あはは」
笑う紗矢を優しい表情で見つめる悟。
その後、買い物やご飯を楽しむ2人。

○夜、駅
悟「ほんとに送らなくて大丈夫?」
紗矢「うん」
悟「今日はありがとう。すごく楽しかった」
紗矢「私も楽しかったよ」
悟「じゃあ、気をつけてね」
紗矢「ありがとう。悟くんも気をつけて」
それぞれ歩きだす。
紗矢(穏やかで楽しい時間だったなぁ)

○渉のアパート、リビング
帰宅後。
悟「紗矢ちゃん、良い子だよね」
渉「…。」
悟「また誘ってみようかな」
渉「好きにすればいいけど…中途半端な優しさで傷つけたりしないでね」
悟「…珍しいね、渉がそんな事言うの」
目を合わせる2人。
< 5 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop