宵にかくして



ぎりぎり、鼻先が触れる至近距離まで近づいて、かちゃりとメガネに手をかけたなぎ兄に、ひ、と喉の奥で息を呑んで身を縮こませる。


……だめ、バレちゃう……っ。
 


「……距離の詰め方バグりすぎだろ」

「あ〜ごめん、なんか引き寄せられちゃって」
 

ぐっとなぎ兄のパーカーのフードを引いたかや兄は、悪いな……って眉をひそめるから、呆然としてしまう私。


か、かや兄も、気づいてない……の?
おそるおそるふたりを見上げれば、ぽん、と頭に乗せられた手のひらにやさしく撫でられて、身体が固まってしまう。


「なんか、小リスみたいでかわいいね」
 
「……?」
 
「おれは桜雅凪。よろしくね、"サナ"」

 


なぎ兄にふわふわと頭を撫でられながら告げられたセリフに、目を丸くする。




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