宵にかくして
……人気モデルとして多忙を極める不和くんだから、バスの移動中くらいはゆっくり休みたいはずだ、と。なるべく肩が触れ合わないように、窓ガラスにくっつくようにして身を縮めていた。
そんな私を最初は不可解そうな瞳で見つめていた不和くんだけど、次第に興味が薄れたのか、今は窓の外を眺めながら静かに座っている。
「えまち〜、はい、あーんっ」
「わ、んん、おいしい……っ」
後ろの座席から身を乗り出した紬ちゃんが、ポッキーを口元に運んでくれる。さくっとした食感ととろけるような甘さに、緊張で強ばっていた頬が緩んでいくのを感じて。
やっぱり甘いものだいすき……!
ありがとう、と紬ちゃんに笑いかければ、いっぱいあるから食べて〜と、またあーんしてくれる。