宵にかくして
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静かな廊下は、ほのかにフローラルな香りが漂っていて、優雅な雰囲気に包まれている。
203号室のドアの前で立ち止まり、深呼吸してカードキーをかざすと、ピッという音のあとに、ゆっくりとドアが開いた。
「……え、うそ……!」
思わず声が漏れて、驚きからぽかんと口が開く。
────────……目の前に広がる光景は、想像していた"寮の部屋"とあまりにもかけ離れていた。
広々としたリビングには、白い革のソファとガラスのテーブルが置かれている。大きく開けた窓からは夕陽が差し込み、ふかふかのカーペットが足元を優しく包み込んでいる。そして奥にはキングサイズのベッドに、大きなクローゼット。
……やっぱり、私、お部屋間違えてる……?
あわてて案内所を確認してみても、確かに203号下の文字。荷物の段ボールにも“蒼唯咲菜"と書かれている、……間違いなく、私のお部屋だ……。