宵にかくして




「(もしかしなくても、すごく特別な扱いを受けてしまっている……?!)」


ふかふかのカーペットに足を沈めながら、がーんと肩を落としてしまう。私が掲げている目標である“目立たない"が、初日から崩れてしまっている……!


でも、秋栄さんとおそらくお父さんがせっかく気遣ってくれたお部屋だから、……ふたりに、ちゃんとお礼を言わないと……。



「それにしても、ひろすぎる……」


ホテルのスイートルームのような作りのこの部屋は、全体的に落ち着いた色で構成されている。


私自身も白や黒などのモノクロがすきだから、この部屋の雰囲気は落ち着く……けど、この家具のひとつひとつ、おそらく全てが高級な品物だ。


試しにソファのロゴを確認してみると、私でも知っている有名な海外のブランドだ。……うう、身の丈に合わなすぎる……。




─────……そして、ふと、気づいたこと



「(この塔って、だれが住んでるんだろう……?)」



そもそも、塔の見た目と作りから他の寮とは違っていたように感じた。“特別"という言葉がぴったりなこの場所は、私の他に誰が住んでるんだろう……という疑問がふと湧いてきたのだ。


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