皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
──これだ。エミリア嬢が「まるで実際の執務のようだった」と語っていたのは。まさに今、私はその真意を痛感していた。

「貴族から寄付を募っては、いかがでしょうか。」

一瞬の間の後、アレシオ殿下は静かに返す。

「寄付は、特定の貴族に偏る傾向がある。さらに、寄付をした見返りに政治参加を求めてくる可能性もある。それでも君は、寄付を望むのか?」

核心を突かれた。理想と現実の隔たり。

それでも私は、自分の信じることを伝えなければならない。

殿下は、本気で私を試しているのだ──。

「税金を課すということでしょうか……」

私は、声を震わせながら問い返す。

今でも税金に苦しんでいる人々がいる。

決して高額とは言えないが、現実には平民の多くがその負担に喘いでいる。

払えているのは、ごく一部の裕福な貴族だけ──それが、この国の現実だった。

「どうした?」

アレシオ殿下の声が、静かに響く。
< 100 / 234 >

この作品をシェア

pagetop