皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
私は勇気を振り絞り、真っ直ぐに殿下を見つめた。

「お間違いはないと、私は思います。」

「では、意見をまとめ──」

言いかけたそのとき、胸の奥で何かが引っかかった。何かが足りない。このままでは、ただ“従っただけの妃”になるのではないか。

私は拳を握った。

「ですが……」と、小さく声を発した。

自分の意思を、ただの正解に埋もれさせてはいけない。そう感じていた。

「思いやりに欠ける政治だと、私は思います。」

勇気を振り絞って告げたその言葉に、アレシオ殿下がすっと立ち上がり、私のすぐ傍に立った。

先ほどまでの穏やかさは消え、まるで威圧するかのような気配が漂う。

「どこがだ。」

声は低く、鋭い。心臓が跳ねる。怖い──けれど、引き下がれなかった。

「……民は、今でも税金に苦しんでいます。これ以上の負担を強いるのは、思いやりに欠けると、私は……」
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