皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
必死で言葉を繋ぐと、アレシオ殿下は静かに、それでいて信じがたい言葉を返した。

「皆に温情をかけるのは無理だ。」

「えっ……」

その瞬間、何かが音を立てて崩れるような気がした。私の中にあった“理想の皇太子”像が、揺らぎ始める。

「貴族だけに税を課すことはできない。皆に等しくだ。」

ああ、この方は──“正しさ”を重んじている。でも、それは必ずしも“優しさ”とは重ならないのかもしれない。

私の胸には、小さな違和感が静かに芽吹いていた。

「それが……アレシオ殿下の、本心なのでしょうか。」

私はおそるおそる問いかけた。すると殿下は、強い口調で答える。

「そうだが?」

その声に、胸が痛んだ。まるで別人のようだった。私の知っているアレシオ殿下ではない。

「あなたは……もっと、思いやりのある方です。」

ぽつりと、心の底から湧き上がった言葉が口をついて出た。
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