皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「それがどうした?」

「え……?」

逃げ出したくなるほど心臓が跳ねる。

「君は、俺の妃だ。公の場で抱きしめて、何が悪い?」

まるで本物の愛の言葉のようで、胸が苦しくなった。

だが同時に思う。――もしかして、これも演技? まさか、これも試験の一部なの⁉

そのとき、試験官が立ち上がり、皮肉めいた声で言った。

「殿下も……罪深いことをなさいます。」

アレシオ殿下は愉快そうに「ははは」と笑い、そして一言――

「試験終了だ。」

そう言って、あっさりと私から離れた。

「……え?」

あれも、全部、試験だったの――⁉

混乱する心と高鳴る鼓動を抑えきれず、私はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。

試験が終わり、私は試験官に連れられて講堂へと戻ってきた。

足取りは自然と重くなる。

先ほどまでの出来事が、まるで夢だったかのように現実味を帯びていない。

すると、試験官が不意に口を開いた。
< 105 / 234 >

この作品をシェア

pagetop