皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
私は顔を上げた。目の前の反応は冷ややかで、決して好意的とは言えなかった。

それでも、私の想いは真実だった。

あの人を愛し、支えたい──それだけは、誰にも否定させない。

講堂に戻ると、すでにざわめきが広がっていた。

「やっぱり皇太子妃はマリアンヌ皇女ね。」

「演説の完成度が段違いだったわ。」

そんな声が次々に耳に飛び込んでくる。

ふと、視線を感じて顔を上げると、マリアンヌ皇女と目が合った。

彼女はゆっくりと微笑み、こちらに歩み寄ってくる。

「お可哀想に。」

その言葉には、優しさの仮面を被った明確な侮蔑があった。

「でも……王族である私に立ち向かおうとした勇気だけは、評価して差し上げるわ。」

私は言葉を失った。

マリアンヌはさらに一歩近づき、耳元で囁く。

「愛人は認めない主義なの。王妃となる者には、誇りが必要ですから。」

彼女の笑みは、美しく冷たい刃のようだった。
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