皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「せいぜい、短い逢瀬を楽しむのね。皇太子殿下も、貴女のような情熱的な女は……退屈しないでしょうから。」

その瞬間、背筋に冷たいものが走る。

でも、私は俯かない。

――だって私は、愛人で終わるつもりなんてないのだから。

あれから数日、再びアレシオ殿下に夕食に誘っていただいた。

「今夜は楽しもう。」

そう微笑んでくださる殿下に、私は頷いた。

殿下は決して、私が“民意を得られなかったこと”を責めなかった。

ただ、私は感じ取っていた。

あの夜以降、ディナーの品数は控えめになり、テーブルクロスも以前のような刺繍入りの豪奢な物ではなくなっていたことに。

──いや、私の考えすぎかもしれない。最初のディナーが豪華すぎただけ。

そう、自分に言い聞かせる。

それでも、どこか胸の奥がざわついていた。

その時、扉の外で声が上がった。

「皇太子殿下、マリアンヌ皇女がいらっしゃっています。」
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