皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
近衛のドナルドが伝えると、アレシオ殿下が返事をする前に──。

「まあ、偶然ね。」

軽やかな声とともに、マリアンヌ皇女が勝手に部屋へと足を踏み入れてきた。

白と金のドレスを翻しながら、まるでこの場の主役であるかのように。

「ごめんなさい、急に。お邪魔だったかしら?」

そう言って笑うが、その視線は明らかに“私だけ”を見ていない。

「殿下、お食事中ならぜひご一緒に。──お話したいことが、たくさんあるの。」

私は思わずナプキンを握りしめた。

この場所は、私の最後の居場所だったのに。

それすらも、奪われていく気がした。

ディナーの席に、マリアンヌ皇女は当然のように腰を下ろした。

「今夜は、愛人を側に?」

その一言で、ナイフのような冷気が走った。

胸の奥に、鋭い痛みが刺さる。私は言葉を飲み込んだ。

アレシオ殿下の目が険しくなる。

「……セラフィーヌは、愛人などではない。俺の恋人だ。」

だが、マリアンヌ皇女は鼻先で笑った。
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