皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「気にするな。……マリアンヌのことは、俺が何とかする。」

優しい声が背中に落ちる。

けれど、それがいっそう胸を締めつけた。

「……もう、いいのです。」

私は小さく振り返る。

そこには、眉間に皺を寄せたアレシオ殿下の姿があった。

「もう、これ以上あなたが非難されるのは見たくありません。」

彼は、ゆっくりと歩み寄り、私の手を掴んだ。

「……俺から、離れるつもりか?」

その声が、震えていた。

私は唇を噛んで、ふっと視線を落とす。
けれど、彼は私の手をさらに強く握った。

「離れるなんて許さない。周囲じゃない。俺が、君を側に置きたいんだ。」

その言葉が、心の奥に染み渡っていく。
でも──

「……アレシオ様。あなたは、この国の未来を背負う方。私などのために、民意を裏切ってはいけません。」

「セラフィーヌ!」

振り返る間もなく、アレシオ殿下の腕が私を後ろから強く抱きしめた。
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