皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
殿下の肩が落ち、そして彼はそっと顔を伏せた。

その姿は、まるで世界で最も悲しい王子のようだった。

私は、窓を閉じた。

涙が頬を伝っていた。

そして3日後、書簡が届けられた。

封蝋を見ただけで、それがアレシオ殿下からの手紙だと分かった。

手が震える。だが、私は封を切った。

「君の顔を見れないのが、これほど苦しいとは思わなかった。
元気にしているだろうか。
僕は……君が笑って過ごしていてくれることを願っている。」

たった一文目で、胸が締め付けられた。
会いたい。声が聞きたい。でも――

「今日、父王から言われた。
王妃は、マリアンヌ皇女が適任だとな。
やはり、君の言ったとおりだった。
僕は……覚悟を決めなければならない。」

指先が、手紙の文字をなぞる。

こんなにも弱さを滲ませたアレシオ殿下の文面は、初めてだった。

私は手紙をそっとテーブルに置いた。

「ああ……もう……」

小さな吐息が漏れる。
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