皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
アレシオ殿下もまた、自分の立場に押し潰されそうなのだ。

だからこそ、あの時、別れを選んだ。

でも、こんな手紙を送ってくるくらいなら――

どうしてあの時、私を手放したの。

涙がぽたりと、手紙の上に落ちた。

「どうして……アレシオ……」

愛するということは、時にこんなにも苦しい。

でも本当は――
「会いたい。アレシオ殿下に会って、私を選んでと叫びたい。」

喉の奥からこみ上げてくる叫びを、どうにか飲み込む。

ダメよ。そんなこと言ったら、また揺らいでしまう。

彼の心をかき乱すだけ。

それに、もう終わったことなのだ。

私は手紙を胸に抱いたまま、そっと目を閉じた。

あの頃は、公募という名の希望があった。

もしかしたら選ばれるかもしれない――そんな淡い夢。

でも今はもう違う。マリアンヌ皇女に、民衆の心は奪われた。

アレシオ殿下も国王から「王妃はマリアンヌ皇女」と告げられたのだ。

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