皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「それでも私を選んで」なんて、言えるはずがない。

もしあの夜に戻れるなら。

「好き」と告げる前に、「愛してる」と囁く前に、

この恋を始める前に――

私はこんなに深く、彼を好きになる運命じゃなかったはずなのに。

「……私も、覚悟を決めなきゃね。」

そう呟いて、テーブルに手紙を置いた。

涙が頬を伝っても、もう拭わなかった。

それがきっと、覚悟というものだから。

翌朝、私宛に届いた一通の書状に、胸が跳ねた。

差出人は――王妃様。

「王妃様から……?」

信じられずに声を漏らすと、届けに来た侍女が静かにうなずいた。

「はい。できれば、お一人でお越しくださいとのことです。」

お一人で――?

貴族の娘が王妃に拝謁するには、本来は保護者である父の同行が必要なはず。

それなのに、なぜ私だけを?

戸惑いながらも、私は急ぎ支度を整え、王宮へと向かった。
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