皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
馬車の窓から流れる街の景色も、今日は頭に入ってこない。

王妃様の真意はどこにあるのだろう。

あの方は、アレシオ殿下の寝室に私を導いてくれた、優しい人。

けれど、国の頂点に立つ存在でもある。

そんな方が、わざわざ私を一人で呼びつける理由とは……。

(まさか……私と殿下の関係が、正式に問題になったのかしら?)

不安が胸をよぎる。

けれど、今さら逃げることなどできない。

私は王妃様に導かれ、殿下と心を重ねたのだ。

馬車が王宮の門をくぐる。

白い石造りの壮麗な宮殿が、目前に迫っていた。

深呼吸をひとつ。

私は、自分の足で、運命に向き合おうとしていた。

王宮に到着すると、私を出迎えた王妃様は、穏やかな微笑みを浮かべていた。

「まぁ、よく来てくださいました。庭園でも散歩しましょうか。」

「はい。お伴させて頂きます。」

少し緊張しながらも、私は王妃様と肩を並べて歩き出した。
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