皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
公正であるはずの公募。

けれど、こうして会話を交わせることすら、もう“差”なのだと痛感させられる。

彼に褒められるということが、彼と言葉を交わすということが、こんなにも羨ましいと思ってしまう自分が、悔しかった。

「次の方、どうぞ。」

受付の声が聞こえた。

「エミリア・ロザリンドです。よろしくお願い致します。」

その澄んだ声に、私は思わず振り返った。

美しい黒髪に、落ち着いた紺青のドレス。

立ち居振る舞いは完璧で、まるで絵画の中から抜け出てきたかのようだった。

彼女が──
アレシオ殿下の“幼馴染み”だという、エミリア・ロザリンド。

私が息を呑んだその瞬間。

「君も応募してくれたんだね。」

アレシオ殿下が、ふいに立ち上がった。

彼の顔が、さっきとはまるで違って見えた。

あたたかく、緩み、どこか……懐かしさに満ちた笑み。

そして、彼はエミリアの両手を取った。

「嬉しいよ、エミリア。」
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