皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「王妃様……」

王妃様は微笑みを浮かべながらも、目の奥には確かな意志の光を宿していた。

「確かに、マリアンヌ皇女は多くの民の心を掴んだわ。演説は見事だったし、執務試験ではアレシオにも臆せず意見し、外交の場でも堂々と振る舞った。……ええ、まさに理想の王妃に映ったでしょうね。」

私は唇を噛んだ。否定のしようがない。

「でも、それだけよ。」

「それだけ、でも……とてもすごいことではありませんか?」

思わず声を漏らす私に、王妃様はゆっくりと首を振る。

「マリアンヌ皇女は、見せる力に長けている。でもあなたは、“支える力”を持っているわ。見返りもなく、静かにアレシオの背中に手を添えた。彼が何も言わなくても、ただそばにいて、心の痛みを分かち合った。その姿を、私は見ていたのよ。」
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