皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
正直な答えだった。だがそれは、皇太子妃として最も問われるべき“愛”に対して、明確な意志が欠けていることを示してしまった。

観客席のあちこちで、ひそひそと声が上がる。

その瞬間、マリアンヌ皇女の完璧だった評価に、わずかな影が差し込んだ。

「今後、どのようにアレシオ殿下への愛情を示されていくのかが、課題となるでしょう。」

そう締めくくると、試験官は一礼し、手元の書類を丁寧に王へ差し出した。

国王は重々しく立ち上がり、会場は水を打ったように静まり返る。

「結果は、私より発表しよう。」

その声に、私もマリアンヌ皇女も反射的に背筋を伸ばした。王は階段を降り、私たち二人の前へとゆっくりと歩み寄る。

「試験結果を以て、正当に決定された。皇太子妃に相応しいのは……」

その瞬間、国王の右手が私の肩に置かれた。

心臓が高鳴る。私は、国王の瞳を見上げた。

けれど、その瞳には──深い憐憫が宿っていた。
< 182 / 234 >

この作品をシェア

pagetop