皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
その時だった。

後ろから、柔らかくもはっきりとした声が聞こえた。

「セレフィーヌ。君は応募しないのか?」

……殿下。

振り返れば、アレシオ殿下が受付の間のドアを自ら開けていた。

表情は読み取りづらく、けれど私を引き留めようとしているのは確かだった。

私は、その姿に激しい衝動が込み上げるのを感じた。

──応募しろ、と?
あんなものを見せつけた後で?

私の中で何かが弾けた。

「皇太子殿下でしたら、例え伯爵令嬢でも妃にする事は可能でしょう。」

静かに、けれどはっきりとした言葉が、私の唇からこぼれた。

「なのになぜ、ご自分で決めずに、公募などという無駄なことをお考えになったのですか?」

リディアが横で息を呑んだ。

私自身も、言い終えた瞬間、胸がドクンと高鳴った。

──ああ、言ってしまった。

でも……もう、止まらなかった。
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